最初に案内されたのが主豚舎で、ここは親豚(梅山豚100%も含む)約200頭がいる豚舎で、主豚舎の右手に分娩舎があり、その横が離乳舎だ。分娩舎は文字通り、仔豚を生む場所で、21日周期で発情するメス豚が妊娠し、約4ヶ月で分娩する場所だ。離乳舎は生まれた仔豚が乳を飲む場所で、約1ヶ月ミルクで飼育される。よくできたもので、メスの親豚の乳が出る時間になると、独特の鳴き声で呼び、その声で仔豚たちは親豚に集り乳を飲むと言う。最初は先を争うが、その内、乳を飲む順、場所も定位置となり平和なひと時となるようだ。約1ヶ月を過ぎると豚舎に移され、9ヶ月で出荷される。
主豚舎で待っていたのが、生まれて10日目の仔豚で、分娩担当の新人(入社4ヶ月)坂巻さんだ。分娩担当の仕事は分娩のサポートだけでなく、生まれた仔豚の歯(牙)を切るのも仕事である。歯を切り落とさないと親豚の乳を噛んでしまう事故などがあり、とても大切な仕事のひとつでもある。うーんそれにしても可愛い。本当に可愛い仔豚だ。抱かせて頂いたが、親豚の鳴き声に近い音を出すと安心するらしく、余り暴れずに抱きかかえることができた。一番上手に仔豚を抱いていたのが代表の野崎さんで、やはりメス親豚に近い何かを持っているかも知れないと、思わずつぶやいてしまった。

主豚舎には約200頭の親豚がおり、梅山豚100%のメスと種付けさせるオス親豚の大きなデュロック豚が同居している(境はある)。全般的には静かな豚舎であるが時々、興奮したような大きな叫び声がするのは、発情したメス豚だ。豚は正確に21日周期で発情するので頃合を見計らって妊娠させるのが、先程登場した坂巻さんの仕事である。熟練の技術者と共に作業をするが、なかなかタイミングが難しいと言う。実際に肉として出荷されるのは、メスの梅山豚とオスのデュロック豚とのハーフ豚であるが、血統を絶やさない為に梅山豚同士も妊娠させるが、近親が強くなり過ぎると絶えやすくもなり、同じ梅山豚でも違う血統の梅山豚との掛け合わせをし、血統を守っている。100%のメスの梅山豚を守るために約1/4にあたるメス親豚を順序良く入れ替わるようにコントロールしている事を聞き、血統を持続させるために大変な苦労しているのが垣間見られた。当然、中にはオスの100%梅山豚が生まれるわけであるが、その殆どが食用として出荷される。その数も1年間で約40頭と希少で、牛肉のような独特な香りがする美味な肉であると言う。(一度味わってみたいものだ)豚は衛生的で、隙間のある柵の同じ場所で寄りかかるように排尿・糞し、掃除も簡単で済み、それらの汚物を一箇所に集め堆肥にして再利用している。豚は成長が早く約8ヶ月で160kg以上になり9ヶ月目に出荷している。

日本一と言われる塚原牧場の梅山豚が誕生するまでには24年前に遡る。塚原さんのお父さんが“トウモロコシを必要としない、人間と共生する21世紀を救う豚”と紹介されているのを知り、一大決心をして輸入したのが始まりで、飼料にはここでは明かせられない大変なご苦労があったようだ。そう言えば、豚舎の寝床に敷き詰められているが、飲料メーカーの棒茶や茶粕などをブレンドしたリサイクル品で、よい香りを醸し出していた。まだまだ、塚原牧場を語るには、書き足らないが、この記事を読んで、どうしても梅山豚を食べたいと思った人の為に、そっとお教えしましょう。東京は青山の紀伊国屋に行けば置いてあるらしいので、確かめに行かれたらどうでしょうか。(まつ)
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